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1. メモリ市場の混乱の中、G.Skillが打ち出す128GBキット
2026年の今、メモリ市場は深刻な価格高騰と供給不足に揺れています。特にDDR5メモリは初期の高コストと生産調整により、かつてない価格帯を記録しています。そんな中でG.Skillが発表したTrident Z5 Neo RGB DDR5-6000 C34 128GBキットは、128GBという巨額容量を誇りながら、AMD Ryzen向けに特化した設計が話題となっています。
通常、128GBメモリはサーバーやワークステーション向けの高価格品ですが、この製品はゲームPCやクリエイティブワークステーション向けに開発されました。特に写真編集や3Dレンダリングといったメモリを大量に消費するアプリケーションユーザーにとって、この128GBの存在意義は極めて大きいのです。
しかし気になるのは価格です。MSRPは$419.99でしたが、現在は$1,599.99と4倍近くに跳ね上がっています。Neweggでは$50のスターバックスギフトカード付きというキャンペーンも展開されていますが、本当にこの価格帯に価値があるのか?
本記事では、実際にこのメモリをIntel Core Ultra 9 285KとAMD Ryzen 9 9900Xの両プラットフォームでテストし、性能やコストパフォーマンスを徹底的に検証しました。
2. 技術的特徴:Samsung M-dieと42mm薄型設計の実力
G.Skill Trident Z5 Neo RGB DDR5-6000 C34 128GBキットの最大の特徴は、Samsung製M-dieチップの採用です。M-dieは高密度かつ高品質なメモリチップとして知られ、特にオーバークロック性能に優れています。64GB単位のモジュールは16個のICを搭載し、PCBには8チップ×2面という構成を採用しています。
また注目すべきは42mmの薄型設計です。これはCPUクーラーとの干渉を防ぐための重要な設計で、特に大型のアフターマーケットクーラーを装着しているユーザーにとって大きなメリットです。従来のメモリは50mm近い高さを持つケースもありましたが、この製品はその点で進化しています。
Richtek製PMICの採用も見逃せません。これはメモリの電力供給を安定化し、特に高周波数動作時の電圧変動を抑える役割を果たします。結果として、安定した性能発揮と長寿命化が期待できます。
RGB照明はTrident Z Lighting Controlソフトウェアでカスタマイズ可能で、マザーボードのRGBソフトと連携可能です。ただし、実際のテストでは、照明の明るさや色合いは競合製品と同等レベルでした。
3. 性能比較:AMDプラットフォームでの真価を問う
性能テストでは、V-Color Manta XFinity DDR5-6400 C32と比較しました。Adobe Lightroomでの処理速度では、Trident Z5 Neoがわずかに優れていましたが、他のベンチマークでは逆転するケースも見られました。これはメモリ帯域幅よりも総合的なシステムバランスが重要であることを示唆しています。
特に注目したいのは、AMD EXPOプロファイルでの動作です。DDR5-6000は1:1比で動作し、性能が最大に引き出せますが、DDR5-6400では2:1比で動作するため性能劣化が生じます。これはAMDプラットフォームユーザーにとって重要な選択肢となるでしょう。
オーバークロックテストでは、DDR5-6000からDDR5-6333へのクロックアップに成功しましたが、1.45Vの電圧が必要でした。ただし、高容量モジュールのオーバークロックは困難で、安定性を保つには注意が必要です。
Intel XMP 3.0プロファイルも対応しており、RyzenユーザーとCoreユーザーの両方に最適化されています。ただし、Ryzen向けのEXPOプロファイルが特に強力であることをメーカーは強調しています。
4. コストパフォーマンス:価格高騰のジレンマ
現在の価格は$1,599.99と、同容量メモリの中でも極めて高価です。これはDRAM不足の影響が大きく、初期のMSRPから4倍近くに跳ね上がっています。Neweggでの$50ギフトカード付きキャンペーンは多少の救済にはなりますが、根本的な価格問題は解決されていません。
フォーラムユーザーからは「DDR4が現実的」との声も。確かにDDR4 3200MHzの128GBキットなら半額以下の価格で購入可能です。ただし、DDR4は最新の高速SSDやGPUとの相性が悪い場合があり、性能面での妥協が必要です。
一方で、この128GBキットは写真編集や3Dレンダリングなど、メモリを大量に消費するアプリケーションでは非常に強力です。特にAdobe Lightroomでは、大容量メモリの恩恵を最大限に受けることができました。
コストパフォーマンスを評価する際には、用途を明確にすることが重要です。ゲーム用途なら16GB×2や32GB×2の構成で十分ですが、クリエイティブワークなら128GBの価値は十分にあるでしょう。
5. 組み合わせ最適解:AMD Ryzen 9900Xとの相性
AMD Ryzen 9900Xとの組み合わせでは、Trident Z5 Neoの性能が最大限に引き出せます。EXPOプロファイルを活用することで、DDR5-6000の帯域幅を1:1比で維持し、ゲームとアプリケーションの両面で優れたパフォーマンスを発揮しました。
テスト環境ではMSI GeForce RTX 4080 16GBとTeamGroup A440 Lite 2TB SSDを併用しましたが、メモリの高帯域幅がSSDの高速読出しを最大限に活かす結果となりました。特に4K動画編集では、メモリの高帯域幅が処理速度に直接的に反映されました。
組み立ての際には、42mmの薄型設計により大型クーラーとの干渉を気にすることなく、メモリスロットにスムーズに装着できます。ただし、2枚装備時の電力供給には、12Vメモリ対応の電源ユニットが必要です。
将来的には、Ryzen 7000シリーズとの相性がさらに改善され、DDR5メモリの価格も落ち着くと予測されます。それまでの間、このTrident Z5 Neoは、高品位メモリを求めるユーザーにとって最適な選択肢でしょう。
結論として、G.Skill Trident Z5 Neo RGB DDR5-6000 C34 128GBキットは、高価ながらもその性能と設計には魅力があります。特にクリエイティブワークや高負荷アプリケーションをこなすユーザーにとっては、価値のある投資となるでしょう。
実際の活用シーン
このTrident Z5 Neo 128GBキットは、特に大規模なデータ処理や高負荷なクリエイティブワークに適しています。例えば、4Kまたは8K動画編集を行う際、高帯域幅のDDR5-6000は複数のトラックを同時に編集する際に非常に重要です。Adobe Premiere ProやDaVinci Resolveといったソフトウェアでは、メモリ不足によりレンダリングが遅延するケースが多いため、128GBの高容量はそのような負荷を軽減する効果があります。
3Dモデリングやレンダリングの分野でも、このメモリは大きなメリットを提供します。BlenderやMayaなどのソフトウェアでは、複雑なシーンをリアルタイムでプレビューするには大容量メモリが必須です。Trident Z5 Neoの高帯域幅により、ポリゴン数の多いモデルや複雑なシェーディングもスムーズに動作します。
また、仮想化環境の構築にも最適です。複数のVMを同時に動作させたり、カスタムOSを構築する際にも、メモリ容量が制限されないことは大きな利点です。特に、開発者やITプロフェッショナルにとって、このメモリはテスト環境の構築やパフォーマンス評価に非常に役立ちます。
他の選択肢との比較
同容量のメモリでは、V-Color Manta XFinity DDR5-6400 C32が代表的です。この製品はわずかに高いクロック数を誇りますが、AMDプラットフォームでは2:1比の動作となり、Trident Z5 Neoの1:1比よりも性能劣化が生じます。また、価格帯はTrident Z5 Neoとほぼ同等ですが、オーバークロック性能ではG.Skill製品が上回る傾向があります。
代替として、DDR4メモリの128GBキットも存在します。例えば、G.SkillのTrident X DDR4-3600 128GBキットは半額以下の価格で購入可能です。ただし、DDR4は最新のCPUやGPUとの相性が悪い場合があり、特に高速SSDとの併用では性能が発揮されません。また、4K動画編集や3Dレンダリングではメモリ帯域幅の制限により、Trident Z5 Neoに劣るパフォーマンスとなります。
他にも、CRUCIALのDDR5メモリや、G.SkillのTrident Z5 Neo以外のモデルもありますが、これらは容量やクロック数が異なり、用途によって適切な選択が必要です。例えば、ゲーム用途なら16GB×2や32GB×2の構成で十分であり、128GBの必要性は低いです。
導入時の注意点とベストプラクティス
このメモリを導入する際には、マザーボードやCPUとの相性に注意する必要があります。特に、Ryzen 9900XやRyzen 7000シリーズとの組み合わせではEXPOプロファイルが必須です。また、Intel Core Ultra 9 285Kとの組み合わせではXMP 3.0プロファイルが推奨されます。プロファイルの適用により、メモリの性能が最大限に引き出されます。
また、高容量メモリを2枚装備する場合、電源ユニットの容量にも注意が必要です。特に、12Vメモリ対応の電源ユニットでないと、電力供給が不安定となり、システムの動作に影響が出る可能性があります。また、メモリスロットの配置にも配慮し、CPUクーラーとの干渉を防ぐ必要があります。
さらに、ソフトウェアの設定も重要です。Trident Z Lighting ControlソフトウェアやマザーボードのRGBソフトウェアを活用し、メモリの照明をカスタマイズすることで、PCの外観をよりスタイリッシュに仕上げることができます。また、メモリの電圧やタイミングの微調整により、オーバークロック性能をさらに引き出すことも可能です。
今後の展望と発展の可能性
今後、DDR5メモリはさらに高周波数化と低電圧化が進むと予測されます。特に、Ryzen 7000シリーズやIntel Core Ultraシリーズの導入により、メモリ帯域幅の重要性がさらに高まり、Trident Z5 Neoのような高性能メモリの需要が増加すると考えられます。また、価格面でも、DRAM生産の増加や供給の安定化により、将来的には現在の価格帯より安価に入手できる可能性があります。
さらに、AIや機械学習の分野でも、大容量メモリの需要が高まっています。特に、大規模なデータセットを処理する際には、メモリ容量が制限されると処理速度に影響が出るため、Trident Z5 Neoのような128GBキットは非常に有用です。将来的には、さらに高容量のメモリも登場し、AI分野での活用が進むと予測されます。
また、メモリの設計面でも進化が期待されています。例えば、薄型設計や小型化により、さらに小型なPCケースでの導入が可能になるかもしれません。さらに、電力効率の向上により、省エネ型PCの構築にも貢献するでしょう。
📰 参照元
G.Skill Trident Z5 Neo RGB DDR5-6000 C34 2x64GB Review: The Sweet Spot For 128GB
※この記事は海外ニュースを元に日本向けに再構成したものです。


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